ゆきはくの開設にあたって,,,


中谷宇吉郎雪の科学館友の会(2000.10.1)発行
「出会い 〜中谷宇吉郎生誕百年によせて〜」より



「中谷先生の功績を 科学教育に!」

                  山田高嗣(友の会会員 No. 01-004,札幌在住)

私が初めて“中谷宇吉郎”という名前を聞いたのは,恥ずかしながら雪国新潟の大学生になってからである。それまでは雪の少ない関東地方や愛知県で育ち,雪に対してはなじみが薄く,さらに文学には興味がなかった上,科学の中でも星に興味を持っていたためかもしれない。新潟での生活は,雪国と言われるだけあって冬になれば雪を見る機会に恵まれていた。中でも降雪粒子をまざまざと見たときは,結晶の形には様々な形があることに衝撃的な驚きを感じた。それまでは,雪はスキーをするための単なるゲレンデ材料としか考えていなかったのである。“雪”とうものに興味を持つようになり,その時初めて中谷先生の存在を知ったのだ。その後,中谷先生のゆかりの地,北海道大学低温科学研究所に大学院生として進学し,雪の科学館友の会にも入会させていただき,現在に至っている。

私の研究は,雪形・雪崩・雪音という3つのキーワードで行われているのだが,中谷先生の研究から始まったこれまでの雪氷学研究の成果にはいつも恩恵を受けている。中谷先生は雪氷学以外にも様々な分野で功績を残されているが,それら多くの功績を学術的な目的のみに使用されるのは非常に惜しいことである。そこで私は,雪氷学の研究成果を科学教育に利用できないかと考えている。

近年,学校教育での理科離れが危惧されているのに加え,学校週休2日制の導入から余暇の過ごし方を考えなければならない時期に来ている。つまり,学校教育はもちろん社会教育を含めた教育に費やす時間をいかに有効に過ごすか,さらには,いかに科学教育を普及させるかを考えなければならない。

雪にまつわる自然現象は,美しさや不思議さから興味を抱きやすく,これまでに様々な科学的メカニズムが明らかになっており,科学教材として優れた素質を持っている。そこで,積雪地域はもちろん雪そのもの自体を知らない地域でも,雪氷を教材として使用した科学教育を普及させていきたいと考えている。その教育普及活動の発端となるのが雪の科学館友の会の活動であり,今後私が取り組んでいきたい課題である。そして,いつの日か中谷先生から始まった雪氷学を“雪氷教育学”として発展させていきたいと夢見ている。


<自己紹介文>

山田高嗣(やまだたかつぐ)

1974年生まれ。愛知県出身。新潟大学理学部物理学科卒業後,北海道大学大学院地球環境科学研究科に進学し,現在,同大学低温科学研究所に大学院生(博士後期課程)として在籍。中谷宇吉郎雪の科学館友の会会員。


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